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ここでは、2007年3月からWEB上でおこなわれた「物者附問答稽古」の内容を ダイジェストしてご覧いただきます… 物者附問答(二)はこちら |
題 「空であるするものは」 ナーニ? ●<小ゑん>それでは、ご投句ください。 ◆<連 衆>尾崎の長男次男 ってのはどうでしょう? ●早速の反応感謝です。 答は、ジャンボジェットですね。 これですと残念ながら、あまり高点句にはなりません。一つの理由は「尾崎の長男次男」の表が立ちにくい、「ふくらました広告」→「過剰宣伝」のようにもっともらしい物事を想像しにくいのです。 もう一つの大きな理由として、私はゴルフはやらないのですが、ジャンボ尾崎というのは、尾崎が「飛ばし屋」で、体つきもジャンボのような感じがするから付いたニックネームですよね。これは一種の絵物者(えものは)なのです。ですから、尾崎からジャンボを誘引させるというのは、物者附をまた元に戻していると考えられ、病句ではないのですが、良い物者附にはなりません。 弟の方も同様な感じで、ジェットと言われてると想像します。違ってたら御免なさい。 元に戻る句というのは、物者附の投句でよく見かけます。そこまで気にしない方もいらっしゃいますが、心亭宗匠は抜かないと思います。 この様に、説明していると私もよく解らなくなって来ます。最終的には「なるほど上手いこと言うな」という『雑俳感覚』なのです。 あと、もう一つ同音異義語で誘引させるのも抜けません。例えば「ぐれた○○」で非行→飛行、を誘引させようという句です。 また、答が違って取られる事もあります。これがまた物者附の面白さです。 引き続き… 「空であるするものは」ナーニ? ◆一年定期のプレゼント ●本当に物者附は難解ですね。 答はサンタクロースですね。 うーむ、やはり表が立ちにくいです。 「一年定期のプレゼント」というのは、サンタクロースを言いかえただけのような感じです。今、無理矢理、サンタクロースで作るとすると「一年ぶりのロース」ですかね。表は「一年ぶりに食べたロース肉」で何とか立ちますが、答がサンタクロースと解る人は居ないでしょう。 つまり、答のサンタクロースと「 一年定期のプレゼント」が付きすぎているのです。「一年ぶりのロース」だと全く違うものになりますよね。でも決して良い物者附ではありません。 サンタクロースを誘引させるのに、「一年定期」とか「一年ぶり」というのは良いと思いますが、ロースというのはかなり無理があります。これは一種の「字物者」ですが、カタカナ語(外来語)なので変形ですね。サンタクロースのロースと肉のロースは、同音異義語のようなもので、本来は不利なのですが、字づらは同じなので何となく良しとなっているようです。 ですから、答がサンタクロース、ジャンボジェットのような、カタカナ語は難しいのです。漢字が入っていると、その字を使って誘引させることが出来ます。 ●物者附ってどこが面白いの?と思われるかもしれませんが、これが解ってくると面白いのです。 心亭宗匠の物者附で「落ちたゴロつき」という句があります。これは、すぐに答が「落雷」または「雷」と解りますし、「落ちぶれてゴロつきになった」→「ちんぴら」という意味にとれ、表が見事に立ちます。当たり前ですが見事な物者附です。 てなこって、引き続き 「空であるするものは」ナーニ? ◆七月の恋人達 「字物者」であるべき事、カタカナが不利な事、ようやく理解しました。「漢字」の持つ表意文字としての利点、連想が湧く事が重要なのですね。 ●答は織姫・彦星(七夕の星)ですね。 やはり、なーんか違うかな(笑)。 「七月の恋人達」は答の(七夕の星)を違う言い方にしただけなので、すぐに答が解ってしまいます。つまり答と付きすぎ(近すぎ)です。表も立ちにくいですね。 解りやすく言うと「七月の恋人達」が、(七夕の星)以外のもっともらしい意味を持つことが大事です。 具体的な作り方の例 1 具体的な作り方としては、字物者でも絵物者でも、両者を混ぜても構いません。 【プロセス0】 まず 「空であるするものは」ナーニ? と問われて… 【プロセス1】 例えば、答を、織姫・彦星(七夕の星)にしようとした場合、以下のように私は考えます。 【プロセス2】 字を分解して組み立て直し、違う意味になる『のた切れ』を探します。思いつく文字は、織姫・彦星・牽牛・織女・七夕、そして私が天文好きなので、ベガ・アルタイル。このくらいですか。 【プロセス3】 ここから『のた切れ』を作ると 「牛に牽かれた姫」 こんな言葉が出来ます。 これの表(そのままの意味)は 「牛車に乗っているお姫様」 という事になります。 【プロセス4】 さらに、 なぞなぞ「空であるするもの」で 「牛に牽かれた姫」はナーニ? 【プロセス5】 ここで「うーむ・・・」と考えると、字づらから織姫・牽牛が連想され、答は「七夕の星」となるのです。 あまり上手い物者附ではありませんが、これが私の『字物者』の作り方です。 具体的な作り方の例 2 一、『絵物者』を含め、他の考え方は、まず、思いつく状態や事柄を並べてみることです。 【プロセス0】 まず 「空であるするものは」ナーニ? と問われて… 【プロセス1】 例えば、 年に一度・デート・引き裂かれた・出会った・離れて暮らす・共稼ぎ・共働き・別居・夫婦・一等星・光る・輝く・両岸、等々です。 【プロセス2】 ここから表の立つ『のた切れ』を作ります。 たとえば 「年に一度の夫婦」 これの表は「雲隠し」になりますね。 でも答とちょっと付いてるかな? 「一等の夫婦」 少し苦しいけど、運動会の風景が思い浮かぶか? ブルートレインも有るかも。 「一等の別居夫婦」 こっちの方がシュールでいいかな? 字と組み合わせるのも手法の一つです。 「出会ったアルタ」 これは星の好きな人でないと、アルタイルを知らないので、答が解らないでしょうね。 【プロセス3…】 以下、こんな感じで考えていると、もう頭が放電しそうになる!なんて無駄なんだ!と思うことが素晴らしいと私は思っています。 てなこって、以上、上手い「物者附」の例句ではありませんが、こんな感じで私は考えています。 引き続き 「空であるするものは」ナーニ? | ◆金の指輪 ●推敲してますね。 かなり物者附にはまりつつあるようで、感謝。 御投句のおかげで、具体例で説明できます。 答は、「金環食」。 これは、良いかも? 絵物者と字物者の混合です。 「金環食」のように、あまり他の人が気が付かない題材を見つけることを「めっけもん」と言って、お手柄になります。 しかし、よく考えると「金環食」の「金環」というのは、皆既日食より月の見かけ視野が小さくて、金の輪のように見えてしまうので「金環食」と言われるようになったので、やはり、絵物者を元に戻してしまった句と言うことになるかなぁ?なまじ金環食1回、皆既日食2回見た私は、そこが引っかかってしまう物者附です。 沖縄で金環食を見たときは、まさに「金の指輪」が空に浮かんでいました。ちなみに皆既日食では「ダイヤモンドリング」と言う現象が見られます。これも指輪ですね。 選者が天文ファンでなければ、上々の物者附だと思います。 皆さん、如何です?この面白さ。 「空であるするものは」ナーニ? ◆光っていた幕 ●答はオーロラですね。 典型的な絵物者(えものは)で上々の作です。表も「光っていた幕」→「(お芝居等で)とても出来の良かった一幕」と言う意味に取れます。上手いですね。 但し、私も以前「光った幕」という句を作ったことがあるので、私が選者だと残念ながら高点句にはしにくいですね。「極めた幕」というのも作りました。 おそらく、私が天文好きなのを知って、オーロラで狙ってきたのかもしれませんね。それがこのように逆効果ということも有ります。 物者附は奥が深いでしょ。 「空であるするものは」ナーニ? ◆欠けたお餅 ●答は「月食」ですか?それとも十六夜・下弦の月、等の「欠けた月」 ということですか? ちょっと入れないなぁ。 「餅」から月を誘引させるとしたら、ちょっと難しいですね。兎の餅つき→月、ということですか? それに「欠けたお餅」では、表が立ちにくいです。正月の「鏡開き」を言っているのかな?ちょっと?です。 ちなみに「月食」で私が作るとしたら「食われた兎」ですかね。表は「フランス料理」とか「兎と亀の駆けくらべ」に取れると思うので。 てなこって、引き続き 「空であるするものは」ナーニ? ◆少し青かったリン ●答が「火の玉」だとしたら、物者附にはなりにくいですね。それとも答が他に有るとしたら、私には入れません。教えて下さいませ。「少し青かったリン」では、表の意味が「火の玉」以外には思いつかないようで。表が「光っていた幕」→「(お芝居等で)とても出来の良かった一幕」のように立たないと、物者附にはならないのです。 一つご注意として、物者附は字物者を考えるので、文字を大切にします。もし火の玉だとしたら、リンは「燐」と書いていただきたいのです。但し、外来語などは仕方ないのでカタカナで書いています。 ひょっとして「少し青かったリンゴ」という表にしたかったのかな?それであれば、当たり前ですが「少し青かった林檎」としないといけません。でもそれでは、火の玉にならないので、全く成り立ちませんね。お解りでしょうか? また、物者附は答が難しいから良いとか、優しいから悪いと言う評価ではありません。あくまでも、表が立って答が「なるほど、うまいこというなぁ」と思わせることが良い物者附となります。 ◆若きガガーリン少佐のつもりだったのです。 名言「地球は青かった」。 そして燐の炎色反応は淡い青。だめかしら? むずいね。 ●これは、さすがに入れません(解らない)ね。 まず、ガガーリンが答として解ったとしても、リンと燐は同音異義語なので、抜けません。ですから、燐をリンと記すのは、病句に近いと思います。『物者附その四』の「一年ぶりのロース」も、同様にサンタクロースの「ロース」なのですが、肉のロースは「ロース」としか記せないので、良しとなっているようです。お解りでしょうか? どちらにせよ、カタカナ語の字物者は、かなり良い句でないと抜けません。字物者は漢字物者の方が有利ですね。 しかし、ガガーリン少佐は気がつかなかったなぁ、「空であるするものは」といえばそうだけど・・。誰か解った方いらっしゃいます? もう一つ「むずいね。」これも病句ですね。 「空であるするものは」ナーニ? ◆お稽古楽しそうなので、まぜてくださーい! とんだお荷物 ●待っておりました。 やはり、開きで天の方は「物者附」必修ですから。 答は「エアカーゴ」「航空便」? それとも「サンタのプレゼント」かな? ◆「とんだお荷物」の裏はエアカーゴのつもりでした。 ●そうですか。 「とんだお荷物」→「何だか面倒くさいこと」というもっともらしい意味で、表が立ちます。「とんだお荷物」を「とんだ荷物」としなかったのが、表を立たせていますね。微妙な違いです。たとえば「役所の仕事」と「お役所の仕事」ではかなり受け取り方が違いますね。「お」の使い方って難しいですね。 このように、物者附では答が一つとは限りません。選者が投句者と違う答を見つけて得することも多々あります。 私の思うに、この「物者附(表裏物者)」を理解している人って、百人いないのでは? 絶滅寸前だったりして。 まだまだ引き続き 「空であるするものは」ナーニ? ◆稲荷寿司の修行 …ってのはどうでしょうか? ●答は狐の嫁入りですか。 間違ってはいないですが、これだと抜けない(選ばれない)ですね。 第一の理由は、表(おもて)が立たないからです。 「稲荷寿司の修行」と言われても、「このことを表しているのか!」と思うことが無いし、稲荷寿司は必ず修行するものでもありません。よって、選者が多数の句を最初ふるいに掛ける時点(前抜き、平抜き、と言います)で落とされてしまう可能性が大です。 第二に答が解りにくいです。 稲荷寿司→狐:これは解りますが、修行→嫁入り:これは解りにくいですね。確かに「花嫁修行」という言葉は有りますが、修行と聞いて嫁入りを思いつくのは時代的に難しいですね。 字物者を使うと分かり易くなります。他の例を参考にしてみて下さい。 まだまだ引き続き 「空であるするものは」ナーニ? ◆落っこちた神様 ●答は久米の仙人ですね。 これはすぐ解りますが、表と答が同じで物者附(表裏物者附)になっていません。「落っこちた神様」が「久米の仙人」とは違う物事を表さなくてはいけません。 例えば「落ちた久米」こうすると、失礼ですが「人気が落ちた久米宏」と言う別の意味に取れ(表が立ち)、答も「久米の仙人」と解ります。この二重構造が「物者附」なのです。難しいですか? しかし「久米の仙人」に気が付くのは流石ですね。これを「めっけもん」と言います。…てなことを言っても、ひょっとして選者の頭が回らず、全く違う答として投句されていることが良くあります。ですから、物者附は宗匠選の後で答合わせをすると、とても面白いのです。 続 物者附問答へつづく |
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